会社の印鑑を、ただの“道具”と捉えている社長さんは少ないと思います。
契約や登記などあらゆる場面で押されるその印影に、「会社の信用や運気が宿る」と言っても過言ではありません。
また、見た目の印象はもちろん、耐久性や偽造リスク、さらには縁起の良し悪しまで関わってくるので、法人印の素材選びはとても重要です。
この記事では、会社印鑑で人気のある素材3つを紹介して、それぞれの素材の特徴などを解説しています。
注文する際の注意点なども紹介しているので、これから会社を立ち上げる、社名変更などで法人印の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
- 脱ハンコの時代でも印鑑は必要か?
- 会社印鑑で人気の素材ベスト3
- 会社印鑑の素材を選ぶ時のポイント
- 会社印鑑を注文するときの注意点
会社印鑑には今でも需要がある?脱ハンコ時代でも残る場面とは
契約書・登記・銀行…まだ印鑑が必要なビジネスシーン
「脱ハンコ」が叫ばれて久しいですが、実際のところ、紙ベースの契約が一切なくならない限り、会社の印鑑が不要になるということはないでしょう。

たとえば、会社設立時の登記申請では「代表者印」の登録が必須。法務局への提出書類には、印鑑証明書が添付されるケースも多く、印鑑なしでは成立しません。
また、金融機関とのやり取りでは、銀行印の登録が求められる場面が多く、とくに従来型の口座開設や融資契約の際にはほぼ必須で印鑑を用意する必要があります。
さらに、取引先との契約書類、請求書や領収書などにも、「会社としての承認」を示す印として角印(社印)を押す習慣は根強く残っています。
法的義務はなくても、「印が押されていない=不備」とみなされるケースがないとは言い切れません。
電子印と実印、どう使い分けられているか
もちろん、近年は電子契約サービスの普及により、印鑑の“代替”が進んでいます。
クラウドで契約締結が完結する便利さはありますが、それでも一部の法的な手続きや社内ルールとして、実印・銀行印の併用が求められるケースが依然として存在するのが実情です。

たとえば、電子契約で合意を交わした後に、紙の契約書も保存しておく企業では、形式上でも印鑑を押すことが“安心材料”とされていることがあります。
また、内部の稟議書や社内文書などは、依然として紙ベースで運用している会社も少なくなく、こうした場面では角印や認印が日常的に活用されています。
完全なデジタル移行が進まない背景には、相手に与える信頼感や正式感といった“感覚的な価値”が根付いていることも一因と言えるでしょう。
会社印鑑で人気の素材ベスト3|定番と実用性で選ぶおすすめ印材
ビジネスの現場では、今でも思っている以上に印鑑が活躍していますし、印鑑の文化が根付いている日本の社会では、まだ当分は法人印の活躍の場はありそうです。
ということで、ここからは会社の印鑑として選ばれている人気の素材3つについて、それぞれの特徴を詳しくご紹介していきます。
※順位は、ランキングを掲載している複数の印鑑ショップの順位を集計して決めたものです。
第1位:チタン|偽造防止・耐久性・メンテナンス性のバランスが最強

近年、法人印で選ばれる素材として急速に支持を集めているのが「チタン」です。

このブログのテーマ的には当然の流れですが、象牙に代わる法人印の印材として本当に人気が高いそうです
チタンの最大の魅力は、圧倒的な耐久性と印影のシャープさ。印面が摩耗しにくく、長年使ってもくっきりした印影を維持できます。
水・油・朱肉にも強く、サビやカビの心配がないため、メンテナンスフリーで清潔に使い続けられるのも大きなポイントです。
チタンの印鑑は、重みがあることで押印時にブレにくく、印影が安定しやすいという実用面の利点もあり、見た目も高級感があるため「信頼感のある印鑑」として評価されています。
自社工場の専用機器でオーダーメイド彫刻してくれるショップであれば偽造対策の面でも安心です。
第2位:黒水牛|高級感と伝統性で信頼を演出できる

「見た目に重厚感が欲しい」「伝統的な印鑑らしさが欲しい」という方に根強い人気があるのが黒水牛です。
その黒光りする美しい質感は、高級感と風格を演出できる素材として、今でも役員印・代表者印などに多く選ばれています。
黒水牛は印面の粘りがあるため、細かい文字や曲線も綺麗に出やすく、見た目の美しさと実用性のバランスが良いのもポイント。
ただし、湿気や乾燥に弱く、長期間使用するには定期的なメンテナンス(オイル塗布など)が必要になります。
また天然素材であるため、経年変化でひび割れが起きることもありますが、「手間をかけてでも伝統的な印鑑を持ちたい」という方にとっては、愛着をもって付き合える素材とも言えるでしょう。
第3位:柘植(つげ)|コストと実用性のバランスに優れた定番素材

法人印を、できるだけ手頃に、でもきちんと使える品質で作りたいという方に人気なのが「柘植(つげ)」です。
昔から親しまれてきた木製素材で、彫刻性が高く、印面がしっかりと出やすいという特徴があります。
とくに初めて法人印を作る方、もしくは支店・営業所用など複数本を必要とする場合に「コスト重視で信頼感も欲しい」というニーズにマッチする素材です。
ただし、木材なので湿気や乾燥による反り・割れのリスクがあり、長期使用を想定するなら保管環境に気をつける必要があります。
とはいえ、価格と品質のバランスがとれていて、法人印の“入門編”として非常に優秀な選択肢です。
ベスト3素材の比較と選び方のポイント
印材 | 特徴 | 意味合い | おすすめ企業 | カラー | 価格帯 |
---|---|---|---|---|---|
チタン | 高級感・高強度 ・モダン | 革新・強靭さ ・個性 | IT・テクノロジー ・クリエイティブ | シルバー・ゴールド ・ブラックなど | 高価格(5万~10万円) |
黒水牛 | 艶やかな黒 ・フォーマル | 威厳・信頼 ・成功 | 士業・製造・建設 | ブラック | 中価格(2万~5万円) |
柘植 | 温かみのある木材 ・親しみやすい | 堅実・成長 ・自然との調和 | 地域密着・環境関連 | ナチュラルな木目 | 安価(1万~3万円) |
番外編:象牙はなぜ使われなくなった?かつての定番素材の今
かつては「印鑑といえば象牙」と言われるほど、圧倒的な信頼を集めていた素材が象牙です。

朱肉のノリ、印面の精度、押印の美しさ――どれをとっても優れており、社長印や実印の最高級品として長年選ばれてきました。
しかし現在では、ワシントン条約による規制や環境意識の高まりによって、新規での象牙印鑑の販売は大幅に制限されています。
特別に許可を受けて製作している印鑑ショップもありますが、とにかく高価で、数も限られています。
「どうしても象牙にこだわりがある」という場合はもちろん良い選択といえますが、現実的には他の素材をを検討するほうが無難かもしれません。
そういった意味では、「黒水牛」だと高級感で格下な感じは否めないので、まったく違う路線で高級感もある「チタン」に人気が集中しているのも頷けます。
会社印鑑の素材を選ぶときに気をつけたい3つの視点
① 運気・縁起|法人印だからこそ気になる素材の意味合い
法人印は、会社の運勢に影響を与える“象徴”としての側面を持つと考えられています。
たとえば、創業日には「縁起の良い日」を選んだり、縁起物を揃える、方位を意識するなど、会社の運気や縁起に意味合いを込める社長さんも多いはず。
当然印鑑の素材にも、それぞれの素材に込められた意味があるのでまとめてみました。
- 柘植:「成長・繁栄」を意味し、事業拡大を願う方に好まれます。
- 黒水牛:「財運・人脈の広がり」を象徴し、取引や信用を重視する業種に向いています。
- チタン:「不動の地位・安定・厄除け」とされ、経営を着実に支える縁起物として人気があります。
無理やり意味を持たせているという説もありますが…、一応はこのような意味合いがあるので、素材を選ぶ時の1つの判断材料にはなるかもしれません。
ちなみに、チタンの場合は、金色の印鑑に仕立てることができるので、これは確実に風水的にはいいでしょうね。


金色の印鑑なら押印する場面で話のネタにはなるでしょう
② ブランド演出|印鑑にも“会社らしさ”を反映する
法人印の素材や見た目には、その会社らしさがにじみ出るものです。
たとえば、自然派やクラフト志向の企業であれば、木製や淡い色のオランダ水牛など、温かみ・やさしい色の素材が調和します。
一方で、最先端技術を扱う企業なら、チタンのようなシャープで無機質な素材が「先進性」を象徴します。

また、想定される取引先によって印鑑の素材を選ぶ、という視点も重要です。
たとえば、先進性、高級感といったことを強調したいのであれば、そういうイメージの素材を選ぶことでコーポレートアイデンティティをアピールすることができます。
逆に、価格を抑えた素材を使うことで、「前に出すぎない会社」「堅実な会社」という印象を与えられるケースもあるでしょう。
素材一つとっても、会社の“ブランディング”や“戦略”は反映できます。
会社の顔である法人印を、「何を伝えたいか」を意識して選ぶというのも大切な要素です。
③ 耐久性|印面の摩耗やひび割れが業務に与える影響
印鑑の素材が持つ“寿命”も、長期的に見れば大きな違いになります。
法人印はそう何度も買い替えるものではないからこそ、摩耗や変形に強い素材を選ぶことが重要です。

木製素材(たとえば柘植)は彫刻性に優れる反面、乾燥や湿気でひび割れたり、印影が擦れてしまうことも。
黒水牛は強度がありますが、天然素材のため定期的なオイルメンテナンスが必要です。
一方、チタンは極めて摩耗に強く、水濡れや朱肉にもビクともしません。
落としても割れず、しっかりとした印影がいつまでもキープできるのというのも魅力の1つです。
また、チタンの適度な重みは、失敗が許されない重要書類に押印する際に、確かな印影を残せるという安心感をもたらしてくれます。
もちろん、「印影がかすれている」「欠けている」ということがあっては信用にも関わるので、素材による耐久性や、押印のしやすさもしっかり見極めて選びたいところです。
会社印鑑で「素材選び」と同じくらい重要なこととは?
ショップのセキュリティ対策
法人印は、契約書や登記など会社の意思を示す「法的な効力」を持つ印鑑です。
だからこそ、万が一の偽造や情報流出に備えるセキュリティ対策は、素材選びと同じくらい重要なポイントです。
印鑑そのものが高品質であっても、製作段階で印影データが外部に漏れてしまうような体制のショップで購入してしまったら意味がありません。
複製されれば第三者によって契約書を勝手に締結されるリスクすらあるため、「どこで作るか」「どう扱うか」も慎重に選ぶ必要があります。
とくに、チタンの印鑑は専用の機械で印面を彫るので、セキュリティの管理体制もショップ選びの大切な要素です。
信頼できる印鑑ショップでは、
- デザインから彫刻まで一貫して自社で管理している
- 印影データの保管期間を限定・または完全削除している
- ネット非接続の専用機器で彫刻し、外部との通信を遮断している
など、情報漏洩や偽造を防ぐための体制が整っています。
法人印を注文するうえで、製作環境や管理体制を含めた「リスク管理」ができているショップを選ぶということもとても重要です。
「どんな素材か」よりも「どう作られたか」が信頼性を左右する

たとえ素材や仕上がりに優れた法人印が手に入ったとしても――
その印影が既製フォントの流用だったり、外部業者によって製作されていたとしたら、完全に安心とは言い切れません。
逆に、価格が比較的リーズナブルなショップであっても、
- 印面デザインを職人が一つひとつ手作業で仕上げている
- 印影データの管理体制がしっかりしている
といった点を保証してくれるお店であれば、それだけで選ぶ価値は十分にあります。
つい「素材」にばかり注目しがちですが、本当に信頼できる法人印とは、“押す”前のプロセスにこそ信頼性があるものです。
印鑑に求められる「信用」を、どのようにして形にしているのか――。
そんな視点をもって、納得できるお店を選びましょう。
まとめ|会社印鑑は「素材+信頼できるショップ」がポイント
会社の印鑑は、ただの業務用の道具ではありません。
それは、契約や登記といったビジネスの要所で“信用”を形にするもの。そして、選んだ印材やデザインには、会社の運気を高め、繁栄を呼び込む願いが込められます。
それだけ法人印の素材選びは難しいですが、目指すイメージに合った素材を選ぶことで、信頼と繁栄の象徴となる印鑑が完成するはずです。
記事の後半では、信頼できるショップ選びが大切という説明をしましたが、最後に、管理人がチタン印鑑を購入した「はんこプレミアム」というショップの返信メールを紹介します。
チタンの印鑑を検討しているときに最終的に4つのショップに絞って、購入前に感じていた疑問を同じ内容でメールをした時の回答です。
- チタンの印鑑で既製フォント以外の、オリジナルの印影にするときにはどのように製作するのですか?模造も心配です
- 当店では既製フォントではなく、ご注文ごとに職人が印影デザインを作成し、専用機械に読み込ませて彫刻しています。機械に既成データは登録されておらず、すべてオリジナルの印影で仕上げております。
また、印影データは出荷後、一定期間を過ぎるとすべて削除しております。保存用のPCはインターネットに接続しておらず、ウイルスなどによる流出の心配もありませんのでご安心ください。
いくつかの疑問を書いて、これはその中の1つを簡単にまとめたものですが、一番反応が早くて丁寧だったのが「はんこプレミアム」だったので、それが購入の決め手となりました。

しかも、注文後に連絡があり、そこでも印影の確認などを丁寧にしてくれました
法人印を検討している方はぜひ参考にしてください。
この記事が、新しい門出に向けた信頼できる一本との出会いに少しでも貢献できたなら幸いです。